COLUMN – 風・系・っぽい。
東海地区ストリートダンス界のご意見番と言っても過言ではないほどに、最前線で活躍し続けるHIPHOPダンサー『TAKAOMI (entrance)』による、SOUL CITY COLUMN 第三弾!
DANCE(ダンス)ダンスには幾つもの種類があります。
バレエ、ジャズ、サルサ、ジルバ、コサック、ケチャ、アフリカン、コンテンポラリー…
盆踊りもダンスですね。
ボクは幸せなことにダンスを生業とした人生を歩ませてもらってます。ボク個人が主としているジャンルはいわゆる『ヒップホップダンス』。(ジャンルという言葉があまり好きではないのですが…)
そして自分自身が経営しているダンススタジオは『ストリートダンススクール』。
そうです。
ストリートダンススクールです。
ここからはあくまで個人的な考え方ですが、このような考え方を共有してくれている先輩や仲間、後輩はたくさん居ます。そしてそれに対し『間違いない』『ありがとう』と言ってくれる海外のオリジネーター達とも交流を持てるようになりました。
しかしハッキリ言ってしまえば、三重県内で同じ価値観や感覚のもとスタジオを経営されている方やインストラクターは居ないと思ってます。
ただ、ヒップホップやストリートカルチャーに詳しくなくても素晴らしい志でスタジオを経営されている方、また素晴らしい指導をされているインストラクターの方も周りにみえます。事実その方々からは違った方向から刺激を受け、たくさん学ばせて頂いてます。
最初に言っておきますが『それは間違いだ』とか『こっちが正しい』みたいな幼稚な話に興味はありませんので悪しからず…
ストリートダンスとはその名の通り”ストリート”で生まれたダンスです。ヒップホップダンスの起源はストリートダンス。
ストリートダンスにもジャンル(…汗)がありますが、厳密且つ正確な話になると『CLUBシーンから生まれたHOUSEダンスはどうなんだよ!?』 とか『じゃあSOULダンスは!?』みたいなディスカッションが必要となりますので、今回はヒップホップダンスに的を絞っていきます(笑)
まずは大枠に『ヒップホップ』というカルチャーがあります。
そしてそのヒップホップカルチャーの中に音楽、ダンス、アート、ファッション、精神等が存在しています。※敢えて何大要素的なものは割愛。
ヒップホップダンスはヒップホップカルチャーの中にある1要素だということですね。ものスゴく簡単に考えてみましょう。
ヒップホップダンスに1番適している音楽が『ヒップホップミュージック』
ヒップホップダンスを1番カッコ良く見せるのが『ヒップホップファッション』
こう考えた場合、ヒップホップミュージックとヒップホップファッションに興味がない人をヒップホップダンサーと呼ぶのでしょうか?
更にはヒップホップミュージックとヒップホップファッションについて詳しくない人にヒップホップダンスを教えてもらってヒップホップダンスを学べるのでしょうか?
答え。
呼ばないし、学べない。
その教えてもらってるダンスは『ヒップホップダンスの要素を取り入れたダンス』であって、『ヒップホップダンス』でも『ストリートダンス』でもありません。
日本的に表現すれば『ヒップホップ系ダンス』です。
※勝手なイメージですが、この『系』の表現って軽くディス含んでると思うんですがどうですかね?笑
もうカタカナの『ヒップホップ』ばかり書き過ぎて『ヒプホプ』に見えてきました(笑)
これは否定をしているワケではなく、一緒ではないということです。その人達が開いてくれている扉があるのも事実だと思ってますから。
でもやっぱり一緒ではないんです。
いや、一緒にされても困ります。
ボクらはダンスだけをやってきたワケじゃないんです。
「あー音楽とかファッションとかでしょー」
とおっしゃるのであれば、尚更一緒にしないでもらいたい(笑)
そんなのボクらにとっては”最低限”です。
「じゃあヒップホップファッションを着てヒップホップミュージックで踊らないとヒップホップダンスじゃないのか!」
そんなことはないですよ。
ただ、それを可能に出来るのはヒップホップにおける『精神』を備えている人だけ。
そしてその『精神』を備えるためには、やっぱり『歴史』を知らないままでは無理でしょう。
音楽とかファッションより遥かに難易度高いです(笑)
『ヒップホップ(ダンス・ミュージック)は人種や性別の壁を越える。』
よくそういう言葉を耳にしたり目にすると思いますが、これはその『精神』や『イズム』を理解している人、また理解しようとしている人の間で成されているこ とであって、ヒップホップブランドに身を包んで、ヒップホップ系の音楽でヒップホップ系のダンスを踊っていれば当てはまるってことではないんです。※ただ『DANCE』そのものに様々な壁を越える力があることは間違いない事実です。今回はあくまでヒップホップに焦点を絞ってますので。
従って、ヒップホップ系ダンスは『ダンス』であって『ヒップホップ』ではない。
ヒップホップダンスは、あくまで『ヒップホップ』なんです。
ただ、誰にも最初があるわけで、それはボクも同じなワケで。
だからこそ興味を持ってもらえるように、興味を持ってくれた人にはもっともっと伝えられるように。そういう想いでダンスを教えたり、スタジオを経営したりしています。
どんなダンスでも『技(テクニック)』を教えることは必須ですよね。
その通りです。
しかしヒップホップダンスを教えるためには、それに付け加えて『ヒップホップ』を知ってもらう必要があるんです。
そして本音を言えば、知ってもらいたいんです。
それはダンスの楽しさだけじゃなく、音楽やファッションや歴史や精神も含めた文化としての楽しさを知ってしまったから。
そこがあったから続けてきたんだろうし、そこがあって仲間が増えたから。
ここまで書いて思いました。
どんなダンスでも一緒ですね。
バレエだって、ジャズだって、民族舞踊だって。
本当の魅力をハッキリとわかっている人は、やっぱり精通している人。
最初のきっかけは小さなことだったとしても、のめり込んで、知りたくなって、知ろうとして、突き詰めて、まだまだ足りてないことに気付いて、それでもそれがまた楽しくて、どっぷり人生になって…
その過程の中で、人間というものを学んで、生きるということを学んで、戦うということを学んで、夢を描くことを学んで…
そんな人間が全ての知識と経験を心の底から伝えたいと思って伝え出しても、最初から理解してもらえるはずがありませんね(笑)
それが本当に必要なことなのか。
それにいったい何の意味があるのか。
そう思われても仕方ないと思っています。
しかし…
申し訳ございません。
そんなに簡単にわかってもらえるようなことであれば、ボクも20年以上の時間を費やしてません(笑)
けど、やっぱり伝え続けたいんです。
『ヒップホップダンス』のカタチだけ伝えるってことをしたくないんです。
『文化』の中にあるものですから。
日本特有の書道、茶道、柔道、剣道、日舞やその土地に根付く踊り、お祭りなんかもちゃんと由来があって、それを受け継いでいる人達は次の世代に伝えるために試行錯誤しているんだと思います。
頑に全てを変えたくない人もいれば、何かを変化させて伝えるべきだと唱える人もいるでしょう。
ただどっちの人も『文化』を受け継いで守っていこうとしているんですよね。
それを変えてしまったら『別モノ』。
日本古来の文化とは歴史の長さも全く違いますが、ボクの周りにいる『ストリートの住人』はみんな『ストリートカルチャー』を受け継いで、伝えて、繋いで、守っていこうと思っているはず。
『文化継承』もHIPHOPカルチャーでありSTREETカルチャーです。
さて、過去最高くらいに長々と書きましたが(汗)選ぶのは皆さんです。
『ダンス』を習いたいのか『ストリートダンス』を習いたいのか。
『カタチや楽しさ』に触れたいのか『文化とイズム』に触れたいのか。
最初にも言いましたが『それは間違いだ』とか『こっちが正しい』みたいな幼稚な話に興味はありません。
どっちの方向にしろ選択肢があることは良いことです。ただし、うちは偽物は売りません。それをやったらHIPHOPに顔向けができない。
この記事を書いてる最中からどうしても使いたかった例えで締め括ります。
『カニカマ』じゃなくて『蟹』
※ボクは全く蟹好きな人ではありません。
『ネギトロ』じゃなくて『鮪』
※鮪の赤身が大好きです。
では!笑